コーチングを学んで知る現実

働き方改革×チームビルディング
働き方改革はチームビルディングで実現!
人が活きて業績があがる本当の働き方改革を広める
現役経営者でありチームビルディングコンサルタントの梶川です。
チームビルディングにおけるコミュニケーションではコーチングの手法をベースに考えます。
その理由はこれまでにも書いていますが、価値観が多様になってきて、マネジメントのスタイルが変わらざるを得なくなってきているからです。
部下が目的や目標を達成するのを支援するために、部下自身が答えを選択し、行動できるようにコーチングの手法を使います。
それが、部下の自立を育て、部下自身のやりがいにもつながります。
そのコーチング。なかなか現場ではうまく機能しないことについて、ここ2回ほど書いています。
今回も、研修やコンサルの現場であったことについて書いてみます。
今回は、「ついつい状況確認についてたくさん質問してしまう」という現象です。
本来、コーチ(上司)としては、
部下が困っていることについて、部下自身が答えを見つけて一歩を踏み出せるようにする
ことに留意する必要があります。
そのためには、
・部下が何に困っているのか
・なぜそのように考えるのか
・実現したいことは何なのか
・何が障害となっていると考えているのか
・言っていることに一貫性はあるか
というようなことを聴き、
答えにたどり着けるための視野を広げるようなオプションの質問を投げかけます。
しかし、陥りやすいこととして、何に困っているか を知るために、その背景や状況を詳しく聴き過ぎることが起きます。
その理由は、
➀上司としてしっかり状況を把握したうえで判断したい
②困っていることに共感したい
というようなことがあるようです。
➀の心情としては、上司たるものしっかり判断して指示を出したい(出すべきだ)というところでしょうか。
自分(上司)が答えを出せるように状況を洗いざらい聴き、自分(上司)が解決できるように となっています。
しかし、これはアドバイスです。
これをしてしまっては、部下が考えることをしなくなり、状況報告をするだけになってしまいます。
もちろん、部下がアドバイスを求めている場合や、シリアスな問題、緊急な問題などの場合、上司が状況をしっかり確認して的確な指示を出すことが必要です。
そうでないなら、部下が判断するプロセスをコーチングで共有して一歩を踏み出す支援をするのがよいのではないかと考えます。
それが自立的な部下を育てることになります。
もしアドバイスをする場合は、先日も書いたように、押し付けでなく「提案」の形をとるのがベターだと思います。
そして、①にはもう一つ、私が個人的に思っている問題があります。
それは、どれだけ詳しく聴いたところで、部下のフィルターを通して語られることは真実ではない ということです。
自分が現場にいて知りえることと同じことを部下の報告からは知りえない。
同じ映像を見ることはできない ということです。
唯一、真実があるならば、部下が何を感じ、考え、思っているか だと思います。
(これとて部下が真実を語っている保証はないので、部下との関係性だったり、部下から感じる言葉以外の情報に気を配ることが大事になってくるのですが)
ですから、部下が答えにたどり着けると感じているか、それを行動に移せると確信しているか、ということを頼りに対話していくのだと考えています。
釣りの例でいうならば、釣り方を教える のではなく、どんなことを考えて釣り方を決めればよいか を一緒に考える という感じでしょうか。
(かえってわかりにくいですかね(^^; )
②は、傾聴を学び、しっかり聴こう という気持ちから来ているようです。
相談者の感情と同じ気持ちになれるように、寄り添えるようにしっかり聴いてしまいます。
これは必ずしも悪いことではないのですが、よく起きることとして、
「そうですよね。そういう気持ちになること私もあります。この前なんて・・・」
という感じで、いつの間にか自分が話し手になってしまったりします。
その場を乗っ取ってしまうのですね。
ですから、聴き手としては相手の感情に共感するのではなく、相手の感情の判断基準(モノサシ)がどこにあるのか(どうしてこう感じるのか、こう考えるのか)というところを聴きとる という感じがよいのではないかと思います。
これでも話し手は、聴き手はしっかり聴いてくれている と感じるものです。
コーチングを学んで実践してみると、➀②いずれの場合も、これまで職場でやってしまっていたことに気づきます。
ついつい、一緒に問題解決しようと思って詳しく状況を聴いてしまうのですが、状況を聴く というのは、本人はすでに知っていること ですから、報告の色合いが濃いですよね。
自分は問題解決したいのに、知っていることばかり話していると前に進んでいる気がしないかもしれません。
こちらがする質問が部下のための質問になっているかどうか。
ここがポイントだと思います。
状況確認の質問。自分(聴き手)のための質問になってませんか。
それでは、今日はこの辺で。
最後までお読みくださりありがとうございます。