上司は部下の問題を一緒に解決してはいけません

働き方改革はチームビルディングで実現!

経営者自身のアライメントと組織のアライメントを整えることで
自然に業績があがる会社にする
現役経営者でありチームビルディングコンサルタントの梶川です。

 

先日、18時からの勉強会に備えて軽めの夕食をとっていたところ、隣のテーブルに仕事終わりらしき5人組がやってきました。

注文を終えて待っている間の会話から、ふと「1on 1やれって言われたじゃない。それでやったんだけどさぁ…」と聞こえてきました。

しっかり聞くつもりでなかったことと、周りの雑踏の音でそれ以降ははっきり聞こえませんでしたが、どうも、好意的な話でなかったようなことは伺えました。

 

1on 1はヤフージャパンで取り入れて成果を上げたということで、一気に流行しました。

部下が成果を上げるための支援をする時間を週に一回とか月に一回とか、定期的にとることで、短いサイクルでPDCAを回すことができるので、成果をあげることにつながる という感じです。

が、流行したのはいいのですが、上司部下で面談の時間をとることだけ を会社から指示がでて、やり方は上司に任せる ということが横行しているように思います。

実際に、そういう企業のお話を何社も聞いたことがあります。

そこで起きていることは、

・上司が一方的に話している(説教している)

・上司のやり方を一方的に聞いている(自慢話になっている)

・質問されたら、上司に認められる答えを探して答える

というようなことで、上司からすれば言いたいことは全部言えてすっきりしている が、部下からすれば、この時間早く終わらないかな と思っているだけ という実態です。

 

で結局、どうやったらいいのか ということですが、一言で言うとコーチングする ということになります。

コーチングについての詳しい解説はここでは割愛しますが、実際、ヤフージャパンで1 on 1を広められた本間さんの1 on 1を拝見する機会があったのですが、まさにコーチングでした。

コーチングもビジネスの世界はかなり広まっていると思うのですが、どちらかというと外部コーチに学ぶ というのがほとんどだと思います。

それを、社内で一般的に行うようにした という点が、1 on 1が広まったことの大きな意味だと思います。

 

弊社では、2年前に全社でコーチング研修を行い、毎月、3マンセルで相手を変えながらクロス面談と称してコーチングトレーニングを行っています。

私自身もコーチングのトレーニングをしていますが、やればやるほど、一朝一夕では身に着かないし、トレーニングの大事さを痛感しています。

社員の振り返りコメントでも、
・今日はコーチの自分が話し過ぎた
・クライアントの問題に集中するのはわかるけど、すこし寂しい感じがする
・コーチとしては話がつながっていない気がする(が、クライアントは考える時間になっている)
・沈黙が怖い
など、毎月、いろいろありますが、そうやって、上達していくのだと思います。

本当の意味で、部下の成果をあげるための時間 がとれるように、継続は力なりです。

 

そういう取り組みや自分自身の経験から、上司が陥りやすい大きな落とし穴に気づきました。

それは、

目標達成のために部下が困っているとすれば、それを一緒に解決してあげよう という良心的な思いから、自分の成功体験や上手くいったやり方を教えてあげる上司が多い

ということです。

部下の問題は上司の問題でもあるから、一緒に解決して何が悪い と言われそうですが、大事なことは問題を解決することではなく、部下が問題を解決できるようにする ということです。

上司が問題解決のやり方を教えてくれると、部下はいつまでたっても上司にやり方を相談します。

困ったことを相談することは悪いことではないのですが、同じ問題や似た様な問題も、いつまでも相談することが続きます。

それは、上司が答えを教えてくれるから です。

違う言い方をすると、上司と違う解決策を実行して叱られるのはいやだから、上司に聞けば楽だから ということも言えます。

 

ですので、上司として集中すべきは、部下の問題を解決すること ではなく、「何がわかれば部下は問題を解決できるのか」 ということです。

言い換えると、問題解決のやり方 を教えるのではなく、問題解決の考え方 に気づいてもらう ということになります。

それができるようになると、部下は問題に直面したときにどのように解決に向かっていけばいいのかを考えられるようになります。

もちろん、上司の成功事例を教えること そのものは悪いことではありません。

その場合は、部下が考えるヒントとして、一つの例として提示する にとどめることです。

多くの上司が陥りがちな問題は、自分の成功事例を世の中の絶対解として部下に強要することにあります。

上司にとっての最適解は必ずしも部下にとっての最適解とは限らない という前提を常に持っておくことが多様な時代の基本だと思います。

弊社では、上司側がしてもいい質問票を利用して、上司に制約をつけておこなう といったトレーニングもやりました。

さながらコーチ養成ギブスですが、ついつい話過ぎてしまう上司には、いろいろな気づきがあるようです。

 

不確実な時代、多様な社員が増えてきて、自らが自分に動機付けする(内発的動機)ことが重要な意味を持つ時代に、上司部下といえどもコーチングをベースにしたコミュニケーションができるかどうかが会社の成長に大事な要素であり、問われていくように感じています。

 

それでは、今日はこの辺で。

最後までお読みくださりありがとうございます。