中小企業は問題解決を人材力に頼りがち

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自働経営®ナビゲーターの梶川です。

 

業団体の活動のために、他社の社長と同行していたときに、こんな話になりました。

「残業を減らすことはやっているんだけど、どうしても残業が多い社員がいるんだよね。特定の人だけど。

そして、休日も出勤したりして、残業代だけで基本給と同じくらいになっちゃう」

社長としては、それをなんとかしたい ということで、どうしたらいい?という質問がありました。

 

そもそも私たち業界の仕事は属人化しやすく、個人商店の集まりとして仕事をしているようになりやすい という特徴があります。

弊社もワークライフバランスに取り組む前は同じ状況でしたし、ある仕事がどこまで進んでいるか 本人しか知らない というのが普通でした。

おそらく同業他社は今でも近い状況ではないかと思います。

ワークライフバランスに取り組む前から、だれが何をしているか本人しかわからない という状況をなんとかしたい、残業が多いのもなんとかしたい と思い、例えば
・課長が全部を把握する
・残業は許可制とし、申請したうえで行う
というようなことに取り組みましたが、うまくいきませんでした。

課長が全部を把握する というのは当たり前のことのように思いますが、本人が報告してこなければ把握できません。

課長の方から確認する ということも当たり前のように思いますが、確認したところで状況が変わらなければ必要性を感じなくなり、いずれ実行されなくなります。

残業の許可制も、必要であれば許可せざるを得ません。

業務集中しないように分散させようと思っても、他の人も忙しくとても代われません。

また、全体をわかっていないとスポットで手伝うということは難しいという業務の特性もあります。

結果、これも形骸化し、この制度もなくなりました。

 

仕事が人に付与されるので、業務の進め方や進み方が人によってしまいます。

つまり人材力頼みになってしまいます。

それを制度で解消しようとしているように見えますが、結局、課長の人材力に頼っている制度だったのでうまくいきませんでした。

特定の人に偏る状況を生み出している構造は、仕事が属人化していることです。

だから、解決するためには属人化を解消する構造をつくることです。

つまり、仕事を分担する ということになります。

ところが、個人で仕事をすることが当たり前になっているので、自分がやっていることが明るみにでることに抵抗がある場合があります。

人に知られたくない、自分のペースでやりたい、その方がはかどるから というような言い訳(屁理屈)が出てくる場合があります。

また、業務の特性上、スポットで分担することは難しいということもあります。

これは結局、個人の価値観をベースに意見を言っている状態です。

社員には社員の数だけ価値観があるので、仕事を分担するという会社の方針に対して、その数だけ抵抗が生まれることになります(極端に言えば)。

 

で、どうするか ということですが、仕事を分担することがいいのではないか という会社の方針や目的、その背景などを説明、提案し、社員に決めてもらう ということだと思っています。

もちろん、会社の方針だ ということでトップダウンで指示命令してやることも可能です。

しかし、そうやると社員の中には愚痴や不満が残ったままになります。

そうすると、後々うまくいかないことが生じます。

指示命令というからには、いろんなルールを決めていくことになります。

たとえば、分担するときのメンバーの選定、分担メンバー同士の業務が増えたらどちらを優先するのか、、、など。

それらを決めたとして、現場にとってやりづらいルールだったら形骸化する、反発する、辞めていく というようなことになるかもしれません。

 

なので、みんなで決めてもらうのがいいと思っています。これは組織力です。

まずは、みんながどんな状態で働いていたらいいと思うのか、理想の状態を共有するところからです。

そうすると、それを実現するためのルールが決まっていきます。それも自分たちが納得できるルールです。

結果的にお互いの仕事の状況がわかっていないと分担して仕事はしづらいよね というような意見がでて、状況を共有できるような仕組みが生まれました。

現場のことは現場が一番よくわかっていますから、理にかなっていると思います。

結果、関係力が向上します。

もちろん、実現困難なことに直面することもありますが、自分たちが実現したいことになら知恵がうまれます。

人は、やりたいことしかやりません というか、やりたいことをやっているときが一番ちからを発揮します。

難しい表現でいえば内発的動機によって仕事をできるようにしていけるといいなぁ と思っています。

 

ときどき、自分たちが決めたことだからできなかったら自分たちのせいにできるよね という経営者の方が見えますが、責任を取らすために自分たちで決めてもらうわけではありません。

繰り返しになりますが、自分たちの実現したいことだから力がでる ということです。

だから、自分たちが決めたことができなかったとしたら、そこに何があるのか、を自分たちで考える ということにつなげていければと思っています。

本当にやりたかったことなのか、だれかの意見をおざなりにしてきたのではないか、そんなことに少しずつ気づいて、だんだん解像度が上がっていくのではないかと思います。

そうやって弊社は変わってきたと思います。

ということで、冒頭の社長には、みんなはどんな風に働きたいんですかね? と問いかけてみました。

 

それでは、今日はこの辺で。

最後までお読みくださりありがとうございます。