ユートピアは存在しない?!

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自働経営®ナビゲーターの梶川です。

 

傾聴が大事 ということに反対する人は、最近では少ないと思います。

多様性とか、自律自立ということを踏まえて、相手のことをちゃんと聞くということが求められています。

以前にも書きましたが、「きく」には3つあると言われていて、

1.耳で聞く・・・音声で耳に入ってくる状態。頭の中で全く他の事を考えている。

2.口で訊く・・・話の「事柄」に焦点を当てている。自分が次に何を言おうか考えている(自分のモノサシ)。

3.心で聴く・・・相手の「状態」に焦点を当てている。相手が本当に必要としているのは何か聴いている(相手のモノサシ)。

傾聴は3番の心で聴く を指しています。

ここでいう『モノサシ』とは簡単に言えば良し悪しや物事の判断基準のようなものです。

たとえば、背が高い と言ったとき、身長計ではかったときに175㎝以上の人を背が高いと思っているんです と言われたら、その人の身長に対するモノサシ(身長計)は175㎝以上が背が高い、ということになります。

自分は185㎝以上を背が高い と思っていたら、背が高いことに対する自分のモノサシは185㎝ ということです。

会話していて自分の知らない人のことが話題になって、相手が「背の高い人なんですよ」と言ったとき、185㎝以上の人を想像していたら2番の『口』で訊いています。

相手の背が高いは何㎝なんだろう と思って話を聴いている もしくは確認したら、3番の心で聴いている=傾聴している状態です。

 

このように、往々にして自分のモノサシと相手のモノサシは違うことが多いのですが、意外にそのことに気づいていない、、つまり、自分以外の人も自分と同じモノサシでいる と思いこんでいる人が多いと感じています。

私が提供している研修やコンサルティングでは、そういったことに気づく振り返りをしてもらいます。

表面上は同じゲームやワークをしているのに、心の中ではまったく違うことを考えていることが明らかになります。

このことが仕事でも同じように起きていて、みんな自分と同じように思って仕事していると思っていたら、実は違っているということは当たり前にあるのです。

これだけ多様性、人と人は違う と言われてきていますが、ほんとに違う ということは些細なところにあるがゆえに、かえって気づきにくく、それがマネジメントの難しさになっているようにも思います。

特に仕事に集中していればいるほど、そういうことに気が回らない、回りにくい という状況になりますから、なおさらおざなりになりがちです。

 

それぞれ自分のモノサシをもっていて、ひとそれぞれそれは違う ということがどういうことかというと、たとえば会議をしていて、ある人には充実した意義ある会議であり、ある人には退屈で意味のない会議である ということが起きる ということです。

表面上は同じ会議に参加しているのに、感じていることが違う、、つまり、まったく違う世界に生きている ということです。

その人の解釈、判断によって世界は意味づけられているので、モノサシが違えば違う世界に生きているのと同じ意味になってしまいます。

人は、それぞれ自分の世界に生きていて、人の世界には生きていません。

ということは、ある人が創ったユートピアは他の人にとっては何の意味もなく、むしろ最悪の場合地獄に感じるかもしれません。

思いやりにしても、自分のモノサシで考えた思いやりはまったく意味がないかもしれません。

だから相手を思いやらなくていい、自分勝手でいい と言いたいわけではありません。

一緒に生きていて、自分が気持ちよく生きたいように、相手も気持ちよく生きていいわけです。

ただ、生きている世界が違うので、お互いが気持ちよく生きるためには、お互いの世界を 伝え、聴く ということが必要だと思います。

あなたはそう考えているんですね、、私はこう考えているんです。。という感じです。

 

その点、どちらかというと 聴く ということは意識している人が増えているように思いますが、自分のことを伝える ということには意識が向いていないことが多いように感じています。

背景には、自分のことは伝えたくない、言わなくてもわかってほしい、自分のことを主張するのは良くないこと、、、などなどのことがあるかもしれませんが、伝えないと伝わりません。

もちろん違う人同士ですから衝突もあると思いますが、それでどうするか ということです。

衝突するような障害になることを他者が取り除くことは先ほどのユートピアの話と一緒で、とすれば、障害にどう立ち向かうか を学ぶことが大事だと感じています。

会社でも同じだと思っていて、経営者が考えるユートピアは必ずしもユートピアではない と思っておくことが大事だと思っていますし、働くメンバーが感じている障害を会社として取り除くよりはお互いにどうしたいかを考えることができるようになることが、本来大事なのではないかと思いながらいます。

 

それでは、今日はこの辺で。

最後までお読みくださりありがとうございます。