経営者の役割

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梶川です。

 

カルロス・ゴーン氏逮捕のニュースが賑わせています。

あまり時事ネタは取り上げないのですが、元日産自動車エンジニアとしては気にならないわけはありません。

私が退職した日が、1999年6月30日。ゴーン氏がCEOになったのが翌日の1999年7月1日。
なので、私のセミナーの自己紹介では、「彼が来るので安心。あとは任せたカルロス と言って辞めてきた」というネタを使ったりしていました。

ゴーン氏はコストカッターの異名をとり、サプライヤーの系列を壊したり、工場を閉鎖したり、日本人のトップではできないこと(限定合理性の取引コストが大きいため)を実行するなど、改革を断行しました。

内部でもCFT(クロス・ファンクショナル・チーム)を組織して、改革を進めていきました。

先述の通り、私もこれらを中から見てきたわけではなくビジネス書などからの情報でしかありませんが、立場によって賛否両論ながら概ね評価されることが多いように思います。

 

今回の報道もまだ詳細はわかっていませんが、報道自体が一方的であるので鵜呑みにすることはしませんし、だからといって、ゴーン氏の考えや思いなどを知る由もありません。ただ、退職者でも残念なのですから、社員の方たちの無念さは推して知るべしです。

また、私は個人事情による退職ですが、それこそ閉鎖され整理された方々は無念なのではないでしょうか。報酬の高い低いは価値とのバランスですからその是非は論ずるつもりはありませんが、こんなことが起こると、その報酬の幾ばくかでも社員に回されればリストラによる対象者は少なくても済んだかもしれませんし、それこそ、なんのためにリストラされたのかとも思うこともあるかもしれません。

 

会社とは何のためにあるのか、だれのためにあるのか ということをあらためて考えさせられます。

そして、社長とは何のためにあるのか、だれのためにあるのか ということもあらためて考えさせられます。

会社法上の規定とか、組織の形態とか、会社の規模だとか、ビジネスモデルなどによっていろいろな答えがあると思いますが、私は、社員一人ひとりが自分らしく働いて、社会に貢献して、成果が上がる組織 を維持していくこと だと考えています。別の表現をすれば、関わる人すべてが幸福になれる組織を維持していくことです。

 

ティール組織の第一人者の嘉村賢州さんが、以下の記事で興味深いことを述べています。

ティール組織における経営者の役割は大きく3つ。「組織の顔」「ソースにつながる」「ティールを維持する」です。

弊社はティール組織ではありませんが、先に述べたような組織を維持していくこと、さらに進化させていくこと は経営者の役割の一つとして考えてもおかしくなさそうです。

そして、ソースにつながる。会社が何を大事にしているのか、どんな思いで変化してきたのか、そして、どうありたいのか といったことを経営者自身が大事にし、社員と共有していきたいです。

そして、組織の顔。これは説明するまでもありません。

 

私自身は大変共感できるのですが、嘉村さんは、「資本主義のべき論の多くはティールの概念とはあわない」とも述べられています。つまり、資本主義に基づく会社ではわかりづらいかもしれません。

但し、組織の顔 というのは、どの会社でも当てはまります。

そういう点で、冒頭のゴーン氏のことは残念でなりません。彼は「顔」でした。
社員のみなさんは何も変わらず、社会への価値貢献を目指して働いていると思います。それらが、すべて否定されてしまうような反応がされたならば彼のせいです。

翻って私自身も、できた人間ではありませんし、弱い人間です。だからこそ、働く社員のプライドを踏みにじることはしないように、肝に銘じて経営していかねば と思った次第です。