「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が成立し、超長時間労働の場合にはその是正、つまり残業時間の削減が待ったなしになりました。

働き方改革の経営的な目的はチームの生産性向上です。

米グーグルが2012年に開始し、4年の歳月と何百万ドルもの資金を投入した労働改革プロジェクトがあります。これによると、生産性の向上にかかわる要素は、組織のメンバーの能力や仕事の規模、雇用形態ではなく、「組織の心理的安全性の高さ」であるという結論になっています。

つまり、働き方改革で目指すべきは、心理的安全性が高い職場に変革すること ということになります。

心理的安全性が高い組織というのは、他者への心遣いや共感、理解力を醸成できている組織です。

これが実現すると、会社としては業績が上がり、社員にとってもそれによって報酬が増えたり、早く帰れるようになってプライベートを充実させることができます。また、イキイキと働ける職場になります。
そしてそれが社員のモチベーションを上げることになって人材確保につながるといったプラスのスパイラルを起こすことになります。
しかし、一般的には「働き方改革」というと、目に見えている問題、例えば残業を削減する、有給を取れるようにする、といった問題解決に取り組もうとします。

 

今までの働き方改革の問題

働き方改革としてやりがちなのは、
・ノー残業デーを設ける
・強引に電気を消すなど残業時間を規制する
・有休取得推進のための制度を設ける
などです。

しかし、実際には仕事が減っていないので、持ち帰って家でやる、居残ってやる などの隠れサービス残業を誘発します。
社員としては見かけ上の残業が減り、その結果、残業代が目減りし、給与が減る、社員のモチベーションが下がる、退職する という負のスパイラルが起きてしまいます。

他にも
1.時間に制約のある社員を適正に評価できない(長時間労働=良いことという価値観)
⇒過去の自分を是としているためそうでないことを理解できない

2.時間に制約のある社員とそうでない社員の相互理解がすすまない
⇒早く帰る社員の分を自分たちが背負わされているという感覚

3.働き方の改革を伴わないと、いざという時に時間で解決しようとする
⇒業務負荷が高くなると残業できる人たちに負担を強いることで対応

4.部下を早く帰すために上司の自分が残業で対応
⇒残念なロールモデル

5.ワークライフバランスの本来の目的を理解していないため社員の規律がとれず業績低下
⇒福利厚生的な理解となり、業績向上の目的と理解が共有されていない

といったようなことが起きています。

 

働き方改革の失敗の原因=共感がない

働き方改革が失敗する一番の原因は、その働き方に社員の共感がないことです。
人や組織の問題はルービックキューブに例えられます。ある面を揃えようと思ったら、すでに揃っている面が崩れてしまうように、働き方改革である取り組みを浸透させようと思ったら、他の取り組みに影響が出て反発されることが起きるのです。

例えば、残業削減ひとつとってみても利害関係者が複数いて、それぞれがそれぞれの価値観で仕事をしているので、小さなグループ単位とか個人単位での削減になってしまい、大きな成果は生まれません。

その結果、取り組みが進まない状況に陥ります。

 

組織の変革プロセス タックマンモデル

組織(チーム)の変革はタックマンモデルであらわされるプロセスを辿ります。


組織は「形成」「嵐」「秩序」「成果」という4段階を経て、成長していきます。
成果の出るチームを作るためには、メンバーや部署間で衝突が起きる「嵐」の時期をいかにくぐり抜けるかがポイントです。

先のルービックキューブの例で言えば、ある面とある面で衝突している状態です。

この状態は、最悪の場合、人が辞めてしまうこともあります。
とても不安な状態なので、一般的には衝突を避けるようになっていきます。
そうすると、あともどりしてしまい、何も変わりません。

「嵐」の状態をくぐり抜けるには、その不安を乗り越える明るい未来=全員が共感しているビジョンが必要なのです。

つまり、ルービックキューブが6面揃った状態はどんな未来か、そこに全員一致で向かっていける共感できるビジョンを共有していることが求められます。

 

あらたなる問題点

上述したように、働き方改革を成功させるためには、共有のビジョンを決めることが重要です。

しかし、ここで以下のような問題が発生します。

ビジョンを決める会議で、
・声の大きな人だけが発言する
・全員の意見を求められたから勇気をだして発言したら否定され、それ以降黙ってしまう
という状況になり、結局、声の大きな人の意見だけでまとめられ、意見を言いだせない人の意見は反映されないビジョンになってしまうのです。

その結果、そのビジョンに共感しない人が出てしまうので、働き方改革の活動が形骸化してしまいます。

 

共感されるビジョンを決めるために必要なこと

全員が共感できるビジョンを決めるためには、その「場」が、安全、安心な「場」であることが大切です。これは、冒頭の「心理的安全性の高い職場」ということにも大きく関係します。

つまり、何を言っても否定されない、無視されない、馬鹿にされない といった、まさに「自分がここに居ていい」という安心感を得られている「場」でないと、全員が意見を述べることもできないし、述べる気もしません。

そのためには、
・他者の意見を尊重して聴くこと
が、大事になってきます。

そして、そのために必要なことは、
・人と人は違う ということの理解
・傾聴などのスキル(コーチングコミュニケーション)
であり、その結果、全員が遠慮なく意見をいうことができる、いわゆる「安全、安心な場」になります。

 

これまでのポイントをまとめると、働き方改革を実現させるには、
全員が共感できるビジョンの共有
人と人は違うことの理解
傾聴などのスキル(コーチングコミュニケーション)
の3つの要素が必要ということであり、その結果、他者への心遣いや共感、理解力を醸成できている組織=「心理的安全性の高い職場」の実現となるのです。

そして、これがまさにチームビルディングで目指す組織なのです。

 

チームビルディングで目指す組織の3要素

もう少し具体的に見ていきましょう。

チームビルディングで目指す組織は、以下の3要素を高めていきます。
・人材力:人と人は違う ということを理解し、実践する(お互いを尊重する)
・組織力:組織のビジョン・ミッションなどゴールイメージを決める
・関係力:お互いを支援する、コーチングコミュニケーションを実践する

 

1.人材力とは、単に人の能力という意味ではなく、メンバー個々の強みや弱みをお互いが知っていること。それによって、チーム全体としての仕事を個々のメンバーの強みによってカバーできていることが理想です。

従って、個々のメンバーの強み弱みを自分だけでなく、チームとして把握していて、それをみんなで受けとめている状態であればひとまず良しです。

2.組織力とは、異なる価値観を持った社員の集合体として、そのベクトルを一つの方向に向かわせるためのもので、会社のビジョン、ミッション、バリューなどがあたります。働き方改革でいえば、なぜそれに取り組むのか、取り組んだ先にどのようにみんなが幸福に働いているのか、社員全員が共感をもてるものである必要があります。

当然、掲げただけではダメで、組織に浸透し、経営者から全社員まで同じように行動していることが求められます。

3.関係力とはいわゆるコミュニケーションですが、お互いのよいところを引き出すコミュニケーションができているかどうかです。上司からの指示命令や、下からの報告をただ待っているだけ というのはコミュニケーションではありません。

なんでも言ったり聞いたりできる「場」づくりのための関係性が構築できているか、上司は部下を応援しているかがポイントです。ここでいう関係力がうまくいかない原因の一つに、1.人材力 の理解ができていないということもよくあります。

 

これら3要素はまさに、心理的安全性の高い職場づくりに必要なポイントであり、これが、働き方改革をチームビルディングですすめることをお勧めしている理由です。

 

もちろん、チームビルディングに依らない進め方でも心理的安全性の高い職場の実現は可能だと思いますが、弊社の働き方改革×チームビルディングは、短期間で成果がでるプログラムです。
一般的に組織学習においては、学びと実践(アクションラーニング)を併用することが効果的と言われています。
そこで、組織に必要な人材力、組織力、関係力(チームビルディング)を仮想体験ゲームやトレーニングで学習し、働き方改革プロジェクトをアクションラーニングとして設定し、学びの実践の場としていきます。その結果、働き方改革の成果が早くでるのです。

 

短期間で成果があがる働き方改革にご興味がありましたら、ぜひ一度、無料相談をご利用ください。
私自身も経営者ですし、また、コンサルタントとしてもたくさんの会社に関わり、改善してきました。
その経験と知識から、御社にとってより良いアドバイスをして差し上げられると考えております。
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