社員が自立的に変化した、私の会社の事例
愛知県刈谷市にある私の会社、株式会社梶川土木コンサルタントでの「働き方改革」事例をご紹介します。会社は昭和49年創業。事業内容は、道路や河川などの公共インフラの測量・設計や橋梁などの点検、調査を行っています。
取り組んだきっかけ
働き方改革以前の会社は、以下のような状態でした。
- 長時間労働は当たり前、徹夜の連続もあった
- プロジェクトごとに担当者を設定し、業務の属人化が顕著
- 上司が部下をマネジメントしない
- 業務以外のこと(掃除やイベント)は余計なこと
そして、社員はこんな苦しみを抱えていました。
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- 一人で仕事を回すため、経験が浅くても自分で責任を負う
- 相談できる上司がいない
- 誰も手伝ってくれない
- 一人で残業、休日出勤して仕事を回す
- 結果、メンタル不調になる
「私自身も働きたいと思える会社ではない」–後悔と反省をし、ワークライフバランスに大きく舵を切ったのが2011年のことです。
具体的な取り組み
社員の意識改革に始まり、会議の大半を廃止、毎月の個別面談など、トップダウンの取り組みを実施。その後、社員相互が働き方や価値観を共有したり、楽しく働けるようチームでアイデアを出し合ったりと、約7年間にわたって取り組んできました。
実際の取り組みの ごく一部をご紹介します。
取り組みの成果
その結果、成果が数字となって現れました。
さらに、社員にも以下のような変化が見られるようになりました。
- 明るくなり、社内の風通しが良くなった
- 自発的・自律的に動くようになった
雰囲気はよくなったが、仕事面では今ひとつだった
私が積極的に社員と面談をするようになったこともあり、社員同士もお互いに意見も言えるようになり、雰囲気が良くなってきました。業務の一環としてのバーベキューや登山、釣り大会、などの社内イベントを毎月のように社員主導でやりました。社員は私が驚くくらい率先して互いに協力して計画、実行もし、社内の風通しも良くなりました。
しかし、それで仕事でのコミュニケーションがよくなったかと言うと、そうではなかったのです。社員たちは、お互いに利害関係のないイベントでは協力できても、 仕事ではそれぞれが自分のやり方を主張して譲らず、なかなかうまくいきませんでした。
今から思えば、この時の私の会社はチームワークは良かったけれども、チームビルディングはできていなかったのです。
衝撃をうけたチームビルディングゲーム
そんなある日、 友人から勧められてチームビルディングのセミナーに参加しました。そのセミナーでやったチームビルディングのゲームで、私は脳天を割られるような衝撃を受けたのです。ゲーム自体は私にとってはそれほど難しいものではなく、短時間でできました。しかし、全員で協力して完成させるはずのゲームを、私は自分一人でやってしまったのです。
ゲーム後の振り返りの時に、講師に「あなたは他の人を見ずに一人でやっていましたね。ほかの人がおいてきぼりになっているのは気付いていましたか? 会社でも同じことはおこっているんじゃないですか?」と問いかけられ、はっとしました。
私は自分では気付かずに、社内で一人で突っ走っていたのではないだろうか?
社内に、自分は置いてきぼりにされていると感じている社員がいるのではないだろうか?
会社の中はうまくいっていると思っていただけに、ショックでした。すぐにチームビルディングを会社に導入しようと決め、それからはチームビルディングを学びながら、1か月に1回チームビルディングの研修を全社員に行ないました。
社員たちは研修でゲームをした直後は、人によってこんなにも考え方が違うのか、という事実を知って衝撃を受け、それぞれの価値観を大事にしようと思うようでした。しかし、仕事の場面では「Aさんはは何をするのも遅い」とか、「Bさんのやり方ではうまくいくはずがない」など、他人に自分のルールを押し付けようとしてしまう、そういう場面を何度も見てきました。
私は毎月社員と面談し、社員の話を聞きながら、「あなたとAさんは考え方や価値観が違うんだ。Bさんの仕事のやり方はあなたとは違うんだよ」と伝え続けました。そのうち、お互いにAさんはこういう価値観の人だから、Bさんはこういう人だからと、社員たちは少しずつ相手が自分の思った通りにやらなくても、なぜその人がそんな行動するのかが理解できるようになってきたのです。
チームビルディングを導入して約3年が経ち、社員はやっと、「人によって価値観も考え方も仕事のやり方も様々で、けして自分と同じではないのだ」ということが腑に落ちるようになり、チームとしての仕事への取り組み方が良くなりました。今では一人一人の強みを活かして会社全体のパフォーマンスを上げられるような組織にしていこうと思っています。
社長が本気なら、社員も変わる
このように、弊社の「働き方改革×チームビルディング」は、本当の意味で社長も社員も幸せに仕事ができるようになり、さらに会社の業績がアップする取り組みです。
単発で運動会やゲームをやったところで、すぐに社員一人一人が「相手には相手の価値観や仕事のやり方があって、自分とは違う。人それぞれに得意、不得意も違う」ということを肌感覚でわかって仕事に活かせるわけではないのです。つまり一回や二回ゲームをしたぐらいでは、簡単には「一人一人の得意分野を生かして協力して成果を生み出せるチーム」はできないということです。
私の会社では、研修でゲームをやったあとにしっかり振り返る時間をとり、この結果をどう仕事と関連付けるかみんなで考えます。私もことあるごとに「人の考え方や価値観は、あなたとはは違うんだよ」と伝え続け、社員どうしでもお互いに対話を重ねていくことで、ようやく「人と人とは違う」という意識が徐々に社員たちの間に広がっていきました。
チームの力が上がるためには人が育つことが必要です。人が変化するには時間がかかりますから、組織が変化するのにも時間がかかります。ですから、その変化に合わせて必要なゲームを体系的に実施することで、やっと社員一人一人の腑に落ち、チームとして機能できるようになるのです。時間はかかりますが、やり続けるとチームとしてのレベルがジワジワと上がってくるというのが私の実感です。
こういう理由から、私は今も懇親が目的の社員旅行や運動会は社員に任せています。しかし、会社の成果をあげるために最も重要だと位置づけているチームビルディングの研修は、毎月毎月私が先頭に立って行っているのです。
私の会社が特別だとは思いません。
皆さんの会社でもできると信じています。
優秀賞を受賞しました
2019年3月18日に(株)ワーク・ライフバランスによるトップセミナーの第2部で、「働き方改革企業2019」があり、優秀賞を受賞いたしました。
(株)ワーク・ライフバランスのイベント報告サイト
今回の表彰の目的等は以下の通りです((株)ワーク・ライフバランス 資料より)
◆賞の目的:
働き方改革企業2019は、生産性向上と働きやすい職場づくりの実現に向けて、働き方改革に率先して取り組んでいる企業を公表することで、社会全体の働き方改革をさらに推進することを目的に表彰いたします。
◆審査の仕組み:
働き方改革に先進的に取り組んでおられる企業の中から以下の点を総合的に勘案し審査しました。
・経営層が率先して働き方改革を推進していること
・自社の風土や課題に適した取り組みを進めていること
・社員にとって働きやすい職場づくりと顧客への価値の向上と
いう両輪での生産性向上を図っていること
・取組の内容と成果が見える化されていること
そして、優秀賞は「自社らしさを活かした働き方改革に取り組まれ、成果を上げた企業に贈られます」とのことです。
社員が自発的に自分の会社をよくしたい と思い取り組んでいるところが認められたと思っています。社員全員による受賞です。
今後とも、これに驕らず、あくまでも「社員のため」の取組みを続けていきたいと思います。
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