「社内の上司と部下の関係があまりうまくいっていないようなのですが・・・」
という質問を経営者からよくいただきます。
ご存知ですか?
若手社員が上司に求めることの第1位は、
意見や改善点を「聞き入れてくれること」
です。
ポイントは、意見や改善点を「教えてくれること」ではないということ。
若い社員だって意見を持っています。
上司には、それを聞き、引き出し、気づきを与える というコミュニケーションが求められるのです。
こう話すと、「部下に迎合するのか、自分の方が経験があるのだから教えた方が早い」などとおっしゃる方がいますが、そういうことではありません。
急がばまわれ。成果を上げたければ、まずは良い関係づくりから
経営者、管理職に求められるのは一般的に業績をあげることです。
しかし、ダイレクトに業績を上げようとしてはいけないのです。
成果を上げたければ、まずは良い関係づくりから始めましょう。
マサチューセッツ工科大学 ダニエル・キム教授が組織の成功循環モデルを以下のように提唱しています。
①関係の質の向上:相互理解を進め、一緒に考える
↓
②思考の質の向上:一緒に考えることであらたな気づきがうまれる
↓
③行動の質の向上:面白くなるので、自発的・積極的に行動する
↓
④結果の質の向上:結果がでる。
↓
①関係の質が向上する
の順に取り組むこと。
つまり、業績を上げるためのファーストステップは、「お互いに理解し合う良い関係を作る」ことなのです。
逆に、考えてみましょう。
業績を上げる事だけを目的に部下に接するとどうなるでしょうか?
①結果の質:すぐに結果を求めるが、結果が出ない
↓
②関係の質:対立、押し付け、命令で関係の悪化
↓
③思考の質:つまらない、受け身になる
↓
④行動の質:受動的、消極的な行動に
↓
① さらに結果が悪化する
という負のスパイラルにおちいります。
私は「業績を上げたいなら、ダイレクトに業績を上げようとしてはいけない」とセミナー等でおはなししていますが、このような理由からなのです。
私が進める働き方改革コンサルティングの目的では、業績が「上がる」としています。自然に業績が良くなるというイメージです。決して、業績を「上げよう」としてはいけません。
上司と部下の関係の質を向上させるには?
それでは、上司と部下の関係の質を向上させ、良い関係を築いてもらうにはどうすればいいでしょうか?2つのポイントがありますのでご紹介します。
1.コミュニケーションの目的を明確にする
働き方改革コンサルティングの目的は業績が(自然と)「上がる」ことにあるので、社内のコミュニケーションについてもそこから逆算して考える必要があります。どんな情報をやりとりする必要があるのか、どういったときに共有すべきなのか といったコミュニケーションの目的を明確にする必要があります。
2.上司にコーチングスキルを身に着けさせる
ただ、関係性の向上といっても、「仲良くする」というだけではありません。特にコミュニケーションというと、「懇親会をしよう」とか、「マラソンチームをつくろう」ということになりがちですが、それだけではありません。(経験から言うとまずはそこからでも構いませんし、それだけでもかなりの効果があるのですが。)
仕事を進めるうえでの良い関係づくりは、ただ仲良くするということではありません。
上司が部下のことをよく理解するということなのです。
そのために、上司にはあるスキルが必要とされます。
それは、「コーチングスキル」です。
コーチングのスキルでは、
・傾聴
・質問
・承認
の3つが必要です。
大ざっぱに表現すると
・傾聴
相手に寄り添って聴くこと。ついつい自分本位に聞いてしまいがちなので、いかに相手の想いに寄り添って聴けるかどうか。相手も自分と同じように考える という思い込みからどれだけ逃れられるかがポイントです。
・質問
GROWモデルを利用して、本人に一歩を踏み出してもらいやすくすること。どうしても、自分と同じ解決策に誘導してしまいがちなので、本人が納得できる一歩を踏み出すことを後押しできるかがポイントです。
・承認
日常において、結果だけでなく経過も承認すること。あたり前のことを褒めるのはどうか という自分の常識を乗り越えることと、承認するためには日常をどれだけ観察しているかどうかがポイントです。
誤解を恐れずにもっと大ざっぱに言うと、上司のすべきことは、「どんなことにも正解はない と考え、部下本人が行動できる(一歩を踏み出せる)後押しをする」ということだと考えています。行動が変われば結果が変わるからです
働き方改革コンサルティングの中ではこのコーチングをトレーニングしてもらいます。
慣れないうちは、聴く側の持つ正解に、相談する側が気づいてほしい、と思ってしまったり、正解にたどり着けるように質問しなくてはとある意味誘導してしまったりすることもよくあります。
だから、評価に関係のない面談や1on1(1対1のミーティング)でも、緊張して構えてしまう方が多いように思います。
「部下がたどり着いた答えが正解かどうか」という視点でいえば、本人が一歩を踏み出せればそれが正解。どんな答えが出てくるかはその場次第。どれでも正解だと思えば、気楽にやれるのではないかと思います。
逆に、上司自身の答えを押し付けて、上司としては満足感が高くても、相談する部下が全然納得していない。その結果、行動に変化がなければその面談は失敗と言えると思います。
上司部下双方の信頼関係を構築するためには、傾聴、質問、承認もというコーチングスキルが必要という事です。
信頼関係のない間柄での面談は、何も生まない
研修やコンサルしていて、時々こういう質問があります。
「面談して、なにか気になっていることあるか?と聴くんだけど、何もありません と言われます。そういった場合はどうすればいいんですか?」と。
これは、つまり両者に信頼関係がないのだと言えるでしょう。
傾聴や承認を繰り返して、双方の信頼関係を構築するほかありません。
そもそも、信頼関係がない状態で、日常の仕事が滞りなく、何の問題もなく進んでいるはずもないわけですので、そういう状況に危機感をもつ必要があります。
経営者としては、「上司の立場の方に、いかに自分中心に物事を見ていたか。ということに気づいてもらう」ことができれば、まずはOKでしょう。
高度成長期のように、モノがなく、たくさん作れば売れる時代には、トップダウン型で指示命令することこそ効率がよく、上意下達のコミュニケーションが求められました。
しかし、現代はモノがあふれている時代。モノよりコト消費と言われるように、何が市場に求められているのか、よくわからない時代です。
市場の多様性に対応するためには、社員も多様でなくてはならず、コミュニケーションもそれにマッチしたものでなくてはなりません。
自然に業績が「上がる」ためには、まずは上司・部下の関係性の向上を目指しましょう。
御社内の上司・部下の関係があまり良くないと感じておられましたら、ぜひ一度、無料相談をご利用ください。
私自身も経営者ですし、また、コンサルタントとしてもたくさんの会社に関わり、改善してきました。
その経験と知識から、御社にとってより良いアドバイスをして差し上げられると考えております。
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