日本人が誤解しやすい心理的安全とは
働き方改革×チームビルディング
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現役経営者でありチームビルディングコンサルタントの梶川です。
心理的安全性 という言葉を聞いたことがありますか。
最近では、米グーグル社のプロジェクトアリストテレスという組織のパフォーマンスに関する調査結果により、この「心理的安全性」が生産性向上に大きく関係している ということで、よく聞かれるようになりました。
遡れば、1965年頃から論じられているようです。
心理的安全性とは、他者への心遣いや共感、理解力を醸成すること と言われており、チームメンバーが周囲に遠慮することなく、率直に意見を述べたり行動したりできる雰囲気です。
この、遠慮することなく率直に というのが大切なポイントです。
率直に意見をいいあえるようにしよう となると、お互いが意見を言い合えるために仲のいいチームをつくろう となりがちです。
しかし、日本人は同質性が高いこと、すなわちみんなと同じであることを好みますから、仲の良いチームというのは反対意見をいいづらい ということになります。
空気を読んで、これを言ったら叱られるかな、雰囲気悪くなるかな、などと考えて発言を控えることがあります。その結果、一見、仲良しな組織であるように見えることがあります。
しかしその実、不平や不満がたまっていて、ただ言えないだけ という社員がいたりします。
では、なんでも言い合えばいいのか というと、そういうことでもありません。
チーム(組織)の目標達成に向かって、必要なことを言い合う ということです。
ある問題を発見したAさんが、このままでは目標達成が難しいと感じ、その問題解決のためにはBさんに改善を求めなければいけなかったとき、AさんはBさんに伝えなければなりません。
そのときに、Bさんに不快な思いをさせるからと遠慮していてはチームの生産性が落ちてしまいます。
このときBさんは、少し嫌な気持ちになるかもしれませんが、チームの目標達成という大義のために、きちんと受け止めることができます。
一方、チームの大義がないときには不快な気持ちのままになりますから、場合によっては言い争いが起きたりして雰囲気が悪くなることがあるのです。
また、自分が何かミスをしたとき。必要なことは伝えなければなりませんが、それによって叱責される心配があり言いださないこともあります。確かに、正直に伝えることに怖さがあるかもしれませんが、チームの目標達成のためには言わなくてはなりません。
チームとしては、それを言いだしやすい雰囲気にしておくこと。それが心理的安全性が高い ということになるのです。
心理的安全性が高い というのは、温い職場 ということではなく、目標達成のためにはついつい避けてしまいたい自分の素の感情を乗り越えられる職場 ということとも言えます。慣れないうちは、心理的にはかえって厳しい職場なのかもしれません。しかし、ネガティブであることも率直に言い合えることが大切です。
特に日本人は主張するのが苦手なので。
弊社では3年前にワークライフバランスに関する活動を社員に任せました。
その時、ほぼ毎月イベントをやることになりました。幹事は持ち回りで、平日に社員全員で幹事が決めたイベントを楽しみました。
幹事ごとに趣向を凝らしており、それは楽しいイベントでした。社員たちの仲もよく、イベント中の協力もしっかりできており、いい雰囲気だったと思います。
特に、会社横の駐車場でやるイベント(餅つきやBBQなど)の片づけは、全員が一斉に動いて、てきぱきと進んでいくので圧巻だと個人的には思っています。
救命救急のイベントの時には外部からこられた講師の方々に、いい雰囲気の会社ですね と言われたくらいです。
ですが、ここのところはイベントは限られたことだけになりました。
ブログでも以前書きましたが、会議室休憩室のリノベーションプロジェクトでは反対意見が出たときに、会社全体の雰囲気が少し動揺しました。
言った方も言われた方も、その後、意見を遠慮するようなときがありました。これは、今は快方にむかっていますが(笑)
そして、今、会社全体で、冒頭の率直に意見を言い合える状態に向かっていっていると思います。
弊社ではチームビルディング研修を全社で行ったり、リーダー層にはコーチングやフィードバックの研修を行ったりしていますが、それでも、反対される ということは、なかなか受けとめにくい ということです。
率直に意見を言い合えるようにしよう と言ってみたところですぐにはできるようにはなりません。
では、どのように取り組んでいくのか ということですが、まずは、人と人は違う ということからスタートして、会社や組織の目的目標をメンバーの共感できるものとして設定し、お互いを尊重できるコミュニケーションのスキルを学ぶ、そして、人と人は違うからお互いを尊重し、目標達成のための必要なルールを策定し、学んだコミュニケーションスキルを活かす場を設定して身に着けて、、、
つまり、人材力→組織力→関係力→人材力→組織力・・・というように動かしていくことです。
やりながらでないと、次に必要なことが見えてきませんし、また、学べないということですね。
弊社の具体的な取組みとしては、チームビルディング研修を一通り修了してから、毎月の面談、部署を越えたクロス面談、会社部署目標と個人目標のリンクから毎月のフィードバック面談、成長する組織360度診断、会議のグランドルールを決める というようなことをやっています。
イベントや必要な組織横断プロジェクトは必要なときにやりたいメンバーが集まって実施することになっていきました。
それこそ、毎月イベントをやっていたような派手さやインパクトはなくなったので、働き方改革取り組み事例のような冊子に取り上げていただくようなことはなくなったと思います。
ちなみに、先のグーグルの取組みでは、1on1や会議の発言機会を全員均等にする とか、メンバーのキャリア開発の手助けをするというようなことが行われているようですね。
それでは、今日はこの辺で。
最後までお読みくださりありがとうございます。