現場を理解すること

最速で成果があがり、持続可能な経営=自働経営® の実現をサポートする
自働経営®ナビゲーターの梶川です。
今、関わっている自治体の事業での、柔軟な働き方導入の専門家派遣でのことです。
当初、社長にヒアリングしたときは、会社にきちんとした評価制度がないので社員の不満もあり、また、テレワークもきちんと評価できていないので不公平感がある ということでした。
その後、その中でも自主的に評価項目を策定している部署の部長に参加してもらい、どのようにやっているか をヒアリングすることになりました。
いくつかの部署がそのようにやっているので、社長も同席の上で、3名の部長に集まってもらいヒアリングしました。
その結果、それら部署では、テレワークもテレワークでない人も評価項目をわけていないが、特に社員からの不満はなく、社員満足度も80%を超えている。
さらに、朝会、昼会、夕会など、テレワークの人でもコミュニケーションが不足しない工夫や、成果が図れるしくみがあるなど、運用面で参考にすべきことがある。
ということがわかりました。
その具体的な内容はともかく、起きていることとしては、社長が、
それら部署の評価の仕方や、マネジメントの内容を把握していない。
アンケートを実施しているものの、アンケート結果をきちんと把握していない。
ということであり、つまり、
目の前に起きていること(問題)だけをみて、問題だと言っている。
アンケート結果もそれにつじつまが合うように理解している。
とういことが起きていました。
なので、社長は問題認識があり問題を解決したいと思っているが、現場は問題を感じておらず(実際に問題はない)、認識に乖離がある状態です。
500名弱の企業さまですが、現場から遠いところにいて、数字などは取っているがその意味を自分の好きなように理解して、そして、実態に合わない施策をやりだす という典型的なことなんだろうな と思いました。
いくつかの示唆があると思いますが、やはり、現状起きていることを正確に把握することが大事だし、一方で難しいことでもあると思います。
従業員満足度調査や、最近ではエンゲージメントサーベイなどといった調査、診断というものを取り入れている企業も多いと思いますが、そこに現れる結果(数値)をいかに理解するか=意味づけ がとても大事であり、数値に一喜一憂したり、勝手な思い込みで理解していると、その後の施策が意味のないものになってしまいます。
意味がないだけならいいですが、それによって現場が疲弊するようなことがあったら、生産性がさらに悪化することになります。
なので、調査することによって現状把握しようとしても、調査しただけでは現状把握にならないのですね。
ですから、現場の声を聴くことが大切だと思っています。
現場で起きていることですから、現場に理由がありますし、さらに、現場に答えがあります。
それを無視していたら的外れですし、新しい働き方どころか、成果をあげることも難しくなると思います。
もう一つ感じたことは、やはりうまくいっているところはマネジメントがしっかりしています。
部下や横とのコミュニケーションの頻度が高く、部下の支援がしっかりできています。
結果として、現場のことを把握できているということです。
だから、部下の上司に対する信頼度も高く、結果として評価に対する不満がありません。
部下にとって、何をやったらいいかが明確で、その実現に向けて上司が日常的に支援してくれて、それを踏まえてできたかできなかったかを理解するので、納得度が高くなります。
いくら精緻華麗に人事評価制度を策定したとしても、こういった運用ができなければ、必ず不満はでます。
制度を作ったらかといってその通りに人は動くわけではありません。
人をコントロールする目的で作ったものには反発がおきます。
だから、制度と運用はセットであり、運用は日常的なものである必要があります。
最近では1on1と言われているようなもので、評価とは直接的に結びつかない面談、支援の機会であることがポイントです。
どちらかといえば、制度はなくても運用があればいいんじゃないか と個人的には思っています。
結局、ご支援の中では社長と部長たちとの意識、問題認識のすり合わせを行いつつ、ベストプラクティスを横展開する際の課題について解決する方向性を決めていく という方針で進めています。
社長の思考特性を考慮しつつ、幹部のみなさんの意見を吸い上げながら、そこを擦り合わせていくということに留意していますが、なかなか自社内では難しいものなのかなぁ と思っています。
それでは、今日はこの辺で。
最後までお読みくださりありがとうございます。