人口ボーナス期/オーナス期

働き方改革×チームビルディング

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梶川です。

 

先週末は業団体の社長研修会でタイへ行ってきました。

自分にとっては初のタイ訪問です。といっても、あまりアジアは行ったことがなく、韓国、シンガポールに次いで3か国目に過ぎません。

行ったことがある人に「バンコクは都会だよ」と言われたくらいの予備知識(といえるかどうか(^^;)だけでしたので、ほぼ連れられて行く感じでしたが、建設業や製造業の会社にお邪魔して現場をみせていただいたり、実状を教えていただく機会を得ました。

建設中の中央駅(大きすぎて入りきらない)

車窓からみた街並み(どんどん建設中)

インフラとしてシンボリックなものが造られているほか、古い街並みと再開発された大きなビルなどが乱立している感じで、地方に行けば大きな工業地帯が5~6カ所あり、政府の計画ではそれはそれは壮大な未来のビジョンが掲げられています。

現在は軍事政権なので、そういった予算が通りやすいというのも理由の一つとのことです。

 

しかし、一方の現実としては、建設業は3Kということで自国の人からは敬遠され、ワーカーと呼ばれる現場の人の7割はミャンマーやカンボジアの人たちで成り立っています。安全のための案内板などは3か国語併記となっています。女性のワーカーも多いです。

訪問した会社では自国の学生(学歴が向上してホワイトワーカーを目指している学生たち)が研修する施設を造り、建設業が何をしているのかを学んでもらう努力をしています。ただ、そうやって建設業に入ったタイ人は現場に行かない人も多いとか。

 

製造業では、工業地帯が地方にありますが、その地元の人たちではなく、山奥の産業のない人たちが出稼ぎに来て働いているとのこと。仕事も多く土曜日はほぼ出勤ですが、残業代が欲しいので働かせてほしい という意見が多いそうです。

ここの日本人のトップの人は、それではダメだと、生産性を上げて会社も魅力的にしなくてはならない(いわゆる働き方改革をしなければ)とおっしゃっておりました。

 

タイでも少子高齢化の波が来ているそうです。

人口ボーナス期と人口オーナス期という考え方があります。これは、ハーバード大学のデービッドブルーム教授が提唱したものですが、人口構造が国の経済に影響を与えるという考え方です。

人口ボーナス期は、従属人口指数が低く(つまり働く人が多く)社会保障費などの負担が少ないために経済発展しやすく、国の経済にボーナスを与えているような時期をさします。日本でいえば、1960年代から1990年までくらいに該当し、高度経済成長期と合致します。

 

やがて、収入が増えると子供へ投資しはじめるため高学歴化し、人件費が高騰します。また、女性の高学歴化は少子化につながります。つまり、支える人が減り、支えられる人が多いという従属人口指数が高い時代に入りますが、一方で、年金制度などが充実してくると社会保障費の負担が大きくなってきます。

これを人口オーナス期と呼びますが、オーナスとは、負担や負荷という意味で、人口構造が経済への負担・負荷となっている状況を指しています。

 

日本はすでに人口オーナス期に入っています。そして、デービッドブルーム教授によれば、一度人口オーナス期に入ってしまうと二度と人口ボーナス期には戻らないと言われています。つまり、人口構造にもとづくかつての経済成長は望めないということになります。

であれば、どうしていくのか。人口ボーナス期、オーナス期で求められる働き方が異なり、これが働き方改革が必要な理由の一つなのですが、これについては明日以降に書きたいと思います。

 

それにしても、日本は先進国の中で最速で少子高齢化が進んでいるのですが、タイも同じ道を歩んでいるようです。日本が前例として参考になるとよいのですが。