なぜを5回繰り返してはいけない
目指す未来は自働経営で実現!
社員が自立的にやりがいをもって働いて、社長が本来の仕事をすることで可能になる、
持続的経営=自働経営 の実現をサポートする
自働経営ナビゲーターの梶川です。
業績=戦略×実行 を繰り返していますが、特に実行力をあげることをお伝えしています。
戦略を 軽視 しているわけではないですが、戦略策定を支援する専門家は多いということと、現代の成熟市場では戦略はコモディティ化する(差異化が難しい)と言われているからで、業績が上がらない要因としては実行力の差が大きいと考えているからです。
個人的には、行動経済学でダニエル・カーネマン著のファスト&スローによる、優れているCEOの手腕と企業の成功の相関係数はせいぜい0.3であり、並みのCEOの成功確率50%(コイン投げで戦略を決めるイメージ)に対してせいぜい60%である ということもあり、ある意味「運」が大きな要因であると思っています。
つまり、だいたいのゴールイメージは持っているものの、それに固執するのではなく、日々起きていることに敏感になり、意思をもって選択していくことが大事なのではないかと。
そして、その選択に責任を持つことくらいしか経営者のできることはないのではないかとも思っています。
前置きが長くなりましたが、実行力が低い というときの考えられる原因は、
・社員が指示待ち
・社長の価値観が社員に伝わっていない/共感されていない
・目標が明確でない
・社長と中間管理職と社員との間に溝がある
というようなことがあります。
すべて人が絡んでいます。
こういうときに、なぜ○○がうまくいっていないのか? と、うまくいっていない原因、理由を探ろうとすると失敗します。
特に製造業では、トヨタのなぜなぜ(なぜを5回くりかえす)が有名で、QC活動などでよく用いられていますから、ついつい人の問題でもそれをやってしまいがちです。
理屈の上ではそれも悪くない方法なのですが、それをやるとたいていのケースでやられた社員は責められている感覚になります。
責められた社員は責任を回避しようと弁明を始めます。
すると、原因究明は難しくなります。
ミスをした社員を叱責するのが目的ならそれもいいでしょうが、原因究明して再発防止したいなら、あまり勧められた方法ではありません。
なぜを繰り返して原因を究明する方法を、ギャップアプローチといいます。
機械のように、一つの変化が起こす次の変化が一義的に予測容易な場合はこの方法が有効です。
しかし、人の場合は、一つの変化に対して起きる変化がさまざまで、さらにお互いに影響しあっています。
そして、なぜ の矢印が自分に向かうと防御反応が起きます。
こういう、人と組織の問題解決にはポジティブアプローチを用います。
起きている問題に対して、なぜそうなったか? ではなく、どうしたら得たいゴールは実現できるか? という主旨の問いを投げます。
矢印を未来の理想のゴールに向けるイメージです。
そうすることで、問われた本人が責められた という感覚を持つことがないうえに、表面上に出てきていない潜在的な問題も包含して解決する方法が得られるメリットがあります。
これは、会社全体でも同じで、部署間に問題があるときに、それぞれが部署内最適を目指して問題解決を図ろうとすると、お互いに相手の部署を変えよう(自部署を守ろう)となりがちです。
お互いの矢印がお互いを向いているからなので、これを、双方にとってのありたい姿に矢印をむけるようにします。
それを広げていくと最終的には、会社として目指すありたい姿に社員全員の矢印を向けていくことが必要であることがお分かりになると思います。
そのときに社長が掲げた目指す姿を伝えるだけでは、社員からの矢印が弱くなりがちです。
社員が共感できる目指す姿を、いかに社長が掲げられるか。
社員を巻き込んだり、社員から意見を聴いたり、それを踏まえて社長自身が会社の存在意義などと向き合う時間も必要になると思います。
実行力を上げる方法の一つとして書いてきましたが、冒頭の日々起きていることに敏感になって選択していく際にも、市場の成熟と多様化の現代では、現場にいる社員からの情報がとても大事な判断材料であるといえます。
社員からの情報がスムースに共有できている会社にすることは戦略の妥当性という意味でも重要なことと考えています。
それでは、今日はこの辺で。
最後までお読みくださりありがとうございます。